死亡事故の損害賠償
交通事故での死亡事故
近年,交通事故による死亡者数は減少していると言われていますが,それでも令和元年には全国で3215人もの方が交通事故で亡くなっています。
残念ながら不慮の事故に遭い,ご家族が亡くなってしまったとき,相手方への損害賠償といったことはなかなか考えられないかもしれませんが,請求できる項目や金額,どのように算出するのかについてお話しします。
葬儀費用
自賠責保険支払基準では,葬儀費用は100万円※となります。
一方,弁護士基準の場合は,原則として150万円,ただし実際に支出した額がこれを下回る場合は実際に支出した額となります。
※令和2年4月1日以降の事故の場合。それ以前は,原則60万円、これを明らかに超えることが立証できれば100万円を上限に妥当な額が支払われます。
本人の死亡慰謝料
自賠責保険支払基準では,被害者本人の慰謝料は400万円※と定められています。
弁護士基準の場合は,被害者本人の慰謝料と近親者慰謝料をまとめた基準化が図られており,赤本基準では,被害者が「一家の支柱」である場合は2800万円,「母親,配偶者」である場合は2400万円,その他の場合は2000万円から2200万円前後とされています。
※令和2年4月1日以降の事故の場合。それ以前は,350万円。
遺族の方の死亡慰謝料
死亡した被害者とは別に遺族の方にも慰謝料が認められます。
なぜなら,民法711条では,被害者の父母,配偶者及び子が,固有の慰謝料を請求することを認めているからです。
遺族の方の固有の慰謝料の額について,自賠責保険での支払いの場合には,自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準で定められています。
その基準に従うと,請求権者が1人の場合には550万円,2人の場合には650万円,3人以上の場合には750万円となります。
被害者に被扶養者がいる場合には,上記金額に200万円が加算されます。
一方で,弁護士基準の場合,先に述べたように,事故に遭われたご本人と遺族の方の慰謝料を合わせて計算がされることになります。
死亡逸失利益
死亡逸失利益とは、事故があったために、本来得られるはずだったのに得られなくなった収入のことをいい、この逸失利益も賠償の対象となります。
計算方法は,
(年間基礎収入額-年間生活費)×死亡時の就労可能年数に対応する「ライプニッツ係数」
となります。
なお,年間生活費とは,具体的にいくら掛かると算出するのではなく,被害者の立場によって割合で計算されます。
就労可能年数とは,被害者が生きていれば就労できたであろう年数を指し,就労の終期は67歳として扱うのが一般的です。
ただし,事故時67歳を超える被害者でも,自営業や農業に従事しているなど,今後も就労する可能性が高ければ逸失利益が認められることもあり,この場合の就労可能年数は,事故時の年齢における平均余命年数の約2分の1とされます。
死亡事故の損害賠償請求を弁護士に依頼するメリット
自賠責基準と弁護士基準では,各項目につき支払われる金額が大きく変わってきますし,さらに自賠責基準には3000万円という上限がありますので,被害者の適切な賠償金を獲得するためには,自賠責基準ではなく,弁護士基準での賠償金を獲得する必要があります。
また,同じ弁護士基準でも,主張の方法によっては慰謝料や逸失利益で金額が大きく変わることも多いため,交通事故の案件の経験が豊富で知識やノウハウを十分に持った弁護士に対応を依頼しないと,適切な賠償金を獲得できないこともあります。
したがって,弁護士に委任するときでも,交通事故の損害賠償請求について精通している弁護士に依頼をすることが大切です。
死亡事故のご相談は弁護士法人心まで
当法人には死亡事故をはじめとした交通事故を集中的に取り扱う交通事故に詳しい弁護士が多数在籍しております。
ご家族を亡くされた辛さを少しでも和らげることができるよう,弁護士が心を込めてお手伝いさせていただきます。