鳥取の裁判例

昭和60年3月22日鳥取地裁米子支部判決

【事案】

 加害者が対向車と正面衝突し,対向車に乗っていた被害者はフロントガラスに頭部を強打して頭蓋亀裂骨折、頸椎捻挫、右三叉神経痛、手足の疼痛やしびれの傷害を負った。
 鳥取地方裁判所は,被害者の後遺障害につき,自賠責調査事務所で認定されたよりも高い等級を認定した。


【裁判例解説】

 本件では,裁判所は初診のA病院医師が作成した後遺障害診断書ではなく,その後被害者が通院したB病院の医師により作成された後遺障害診断書をもとに,A病院作成の後遺障害診断書では認定されなかった第3、第4椎間の角彎形成を他覚所見として認定し,自動車損害賠償保障法施行令二条別表(後遺障害等級表)の12級12号(現在は12級13号)「局部に頑固な神経症状を残すもの」に相当すると認定した。
 一方で被害者は,事故後手のしびれや疼痛で家事や夫の自営業の手伝いができなくなったとして,後遺障害等級表9級10号「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な限度に制限されるもの」にあたると主張していたが,これについては被害者の性格情緒等の心因的要素や,症状固定後にもなお事実上頻繁に治療を受けていることなどが労務の制約要素になっている面も否定し難いとして否定した。

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